スキナモノガタリ

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【ネタバレなし】昭和元禄落語心中の面白さ

今期アニメでどっぷりはまっております、昭和元禄落語心中でございます。
あまりにはまったもんだから記事の一つくらい書きたいと思います。
とても良いストーリーなので、なるべくネタバレはないようにざっくりやっていこうと思います。
以下よろしくお願いします。

昭和元禄落語心中とは
昭和元禄落語心中は昭和落語界最後の大名人『八代目有楽亭八雲』を巡る落語めいた人々の奇妙な巡り合わせが描かれた漫画で、現在アニメが放送中です。 

昭和元禄落語心中(1) (KCx)

昭和元禄落語心中(1) (KCx)

 

 

リアリティ溢れる人物像
この話の何が面白いかと言うと、ずばり生々しさ。リアリティがあると思います。どういう事かというと、創作にしては話がとても自然で、まるで本当にそうした人物がいるかのようなドキュメンタリータッチな作品になっています。
良い意味で物凄く嘘の上手い作者さんだと思いました。

例えば落語心中と言うこの変わったタイトルですが、この【落語と心中する】と言う意味合いの言葉は割と序盤に有楽亭八雲の口から出てきます。
大抵のアニメや漫画なら早々にタイトル回収かなとか思っちゃうんですが、これがストーリーが明らかになるに連れ、生々しく人生の重みを持ったものに変貌して行きます。
丁寧に丁寧に人物を描き出すことで、なぜ大名人はそんなことを言うのか?と言う過程に物凄い説得力を持たせて来るのです。
最初にこの言葉を見た時と、事情を知って振り返って見た時、丸で重みが違います。
そうしたところがとても上手く面白いと思いました。
また、それでいながらぽんぽんと絶妙に時が飛ぶので、話のテンポも良く楽しめます。

BL的な描写への持って行き方上手さ
またちょっと違う視点ですが、よく指摘されてますが作者さんはBL作家さんでもあります。
なのでそれっぽい事を意識されたのではないかと思うシチュエーションもあるのですが、それはそれで説得力をちゃんと持たせていて、なぜそうしたのか理解しようとすれば自然に出来ると言う、そういう無理のない話の持って行き方の上手さも面白いと思いました。

例えば男の子同士で指切りするシーンとかあるんですが、そのシーンは今生の別れになるかもしれない的なシーンです。その上で、指切りを切り出す男の子は女系の家庭の出で、歌や踊り、琴と言った大正・昭和の女性の芸事が身に染みていて、しぐさや話し言葉もどっぷりと女性らしさに浸かっているのです。
それを思えば指切りと言うのは、その子にしてみれば幼いころから約束と言えば指切りとごくごく自然な事だったのではないかと、私は勝手に補完出来ました。

直でBLらしいシーンを描かれる事はないというか、むしろ直でそれっぽいとこはきちんと一般人視点で引いてる描写をセットで描かれて一線引いてますが、何と言いますか、作者なりの趣味・嗜好を入れつつもメインの話を全く邪魔しない描き方に感心しました。


アニメ版のすゝめ・原作のすゝめ
以下だらだらとすゝめ的なこと書いてるんですが、私の拙い言葉にそれほど説得力があるとも思いません。なので冒頭で一言言わせてください。

主に硬派・真面目なアニメ、大人向けのアニメが好きな人が主にハマると思います。
人間ドラマ好きな人にもずばりとハマると思います。
そんな人は騙されたと思ってアニメ第一話見てください。
もしくは騙されたと思って原作大人借りして読んでみてください。
どっちから入ってもOKです。どちらかで面白いと感じたら、どっちも楽しめると思います。
では以下、私なりのすゝめです。

アニメから入った輩の意見なので日も浅く恐縮なのですが、原作も読んだ上で言わせて頂きます。

アニメとても良いです!
原作にある魅力や雰囲気を最大限引き出そうとしてる感じが見て取れます。
そしてなにより落語をしっかりとアニメという媒体に載せることに力が入ってます。
原作では落語中の心情は文字で書かれていましたが、アニメではキャラの落語のトーンやしぐさ、音楽と言った雰囲気で表現してきます。
なので声優に求められる力量も半端ないのですが、それに見合った声優をしっかりと揃えてると思います。

そしてちょいちょい差し込んでくるアニメオリジナルが良い!
原作はもちろんの事素晴らしいんですが、普段はいまいちに思うことも多いアニメオリジナルシーンがこの落語心中はとても良いです。
やりすぎず、細かすぎず、なぜ描いたのか意図がよくわかり、原作の人物や雰囲気をさらに掘り下げる働きをしています。

TV版ではカットされてますが、萬歳師匠と与太郎の1シーンとか。(原作8巻特装版DVD及びDC版のBD/DVD第一巻には収録されるかと思います。)
原作にはなかった第2話の初高座のシーンとか。もうお見事です。

とまあアニメを推させてもらいましたが、原作は原作でもちろん良いです!
ちょいちょいカットされてるシーンも描写もありますし、差分が原作とアニメでどちらも補完をし合うような、一番良い関係ですね。

まだアニメは3話といったところですが、これからも様々なドラマ・落語と美味しいシーンが盛り沢山なので、アニメでどうなっていくのかとても楽しみです。
アニメ見た人は原作を・原作見た人はアニメを、最後までどちらも楽しめる作品になることを祈っています。

ちなみにアニメはこっそりアマゾンビデオでも配信されてます。
うちの地域じゃ見れないと言う方はアマゾンプライムをご一考下さい。(ステマ


駄文
このアニメ見てると2つの作品が頭を過ります。
一つはNHK連続テレビ小説。過去編に入って八雲のナレーションが入るからか益々それっぽくw
クオリティ的に実写やるなら本当に連続テレビ小説枠でも問題なく思っていますが、声だけでも大変なのに身振り手振りつけて落語するとなると、いよいよ適役が無理そうですねw

もう一つはるろうに剣心追憶編。アニメの本気度と言うかリアリティと言うか、そうした雰囲気で連想してしまったんですが、物静かなEDとか。よくよく思えばあれもスタジオディーン(アニメ制作会社)なんですよね。ちょっと古い作品だけど、スタッフかぶってるのかな?

駄文お粗末さまでした。

今更ながらアマガミのちょっとおまけ劇場EX2-高橋先生√-やってみた

いやあ、NTRって良いですよねえ。
何が良いって、彼氏彼女や夫婦と言う立場でありながら、次第に落とされていってしまうと言う過程と、そして片や絶望を味わって行く過程の一粒で二度美味しい感が良いですよね!
NTRを唄いながらただのビッチが一戦交えて行くパターンのやつは詐欺で皆訴えられてしまえと思うわけですよ。
痴漢ものなのに堂々と車内で乱交するな!コスプレものなのにすぐ全裸になるな!お前ら釈迦に煩悩殺がれて悟りを開いてしまへ!
こう言う属性好きの読者がこう言う本に求めているものは、ただのエッチじゃないんですよ!
場所がおかしかろうが、シチュエーションがおかしかろうが、恥じらいもなくただエッチされたら、それは素材の味を全て殺したただのエッチなんですよ!そんなものはいらない!
そしてNTR好きというのはね、高いハードルと丁寧な心理描写!紆余曲折を経た心理描写がなんとも心を突くんです!
時にやるせなく、時にカタルシス、特に好きです色白好。
一応弁明しておきますが、リアルにそんな事しようなんて事は決してないです。
リアルは彼女一筋です。私は裏表のない素敵な人です。そして上記は私とちょっとエッチな彼女との総意です。

と言うわけでまあ、私は揺れ動く丁寧な心理描写に弱いわけですが、アマガミの高橋先生√は正にその辺りの描写、そしていろんなキャラを活かし切ったカタルシスがなんとも良かったです。
先生と言うのでピンとくるかと思われますが、これは教師と先生の恋愛ものです。
せっかくなのでちょっと簡単にアマガミの紹介も書いておきます。

アマガミとは
アマガミとは男子高校生の主人公(変態)と個性的な6人の女子高校生のヒロインとの恋愛模様を見て楽しむゲームです。18禁ではありません。
一応主人公の名前を変えられたり綿密な細かいストーリー分岐があり自由度が高いですが、主人公のキャラが濃く、恋愛シミュレーションと言うよりは自由度の高い読み物です。
主人公含め各ヒロインからモブまでよくキャラが立てられており、そのキャラ同士の絡みが面白かったことから人気が出ました。
また登場人物は全員黒髪か茶髪でリアル志向、恋愛ものとして面白くなるようにあえて学生があまり携帯を持っていなかった1990〜2000年辺りを時代設定しているのも面白いです。
今30歳〜40歳の方、貴方の青春時代が舞台ですよ!
今ではPS2以降のPS系の機器なら大体プレイ出来るよう移植やDL販売されてます。
(DL販売はタイトルがアマガミではなく、エビコレ+アマガミになってるのが50音順的にややこしい)
その他細かい事はwikiなど見てください。

とりあえず、2009年発売のソフトになぜ今更という事もありますが、最近ニコニコ動画のランキングにアマガミが入ってたので懐かしくなり、それ見てたらアマガミ熱が再燃しちゃって、しかしアマガミは以前オールコンプリートまでやりきったので、どうしようかと思ったところ当時(2011年頃)入手困難だった“ちょっとおまけ劇場”(Windows版のみ)と言うファンディスク的なアイテムがAmazonなどでDL販売されてることを知り、値段も安くなっていたのでサクッと購入に至ったわけです。
そんなファンディスクの中でも目玉だったのが特にこの本編で攻略出来なかった高橋先生ルートと塚原響と言う先輩ルートです。

アマガミと言うゲームは、明らかにアウト(18禁)を匂わせる描写を含みつつ、バカでエッチなおっさん達が真顔で、必死で、健全である事をのらりくらりと絵を変え言質を変え、シチュエーションを変えてCERO C(15才以上を対象)に落とし込んだ努力が垣間見える感じのゲームです。
多分そんな努力が全てではないですがたぶん!

で、高橋先生ルートをやってて思ったわけです。
他のおまけと比べてこのルートだけ異様に気合い入ってるというか、長いし本編と整合性取れてるし、ストーリーがいやに丁寧だし本編の会話システムの名残も感じると。
あれ?これってもしかして、CERO Cの為に教師との恋愛だけ省いたのではと。

アマガミには数多のエンディングが用意されてまして、大きく分けてBEST、GOOD、BADです。(知らない人からすると複雑怪奇なので本当にざっくりと分けました。ちゃんと分けると30種くらいあるそうです。)
だがしかし、高橋先生ルートは本編のとあるシーンからよく整合性が取れて繋がってるわけですが、その入り口は表示がBAD ENDじゃなくてGAME OVERなんです。
アマガミとしてのGAME OVER、それは用意されたヒロイン(女子生徒)たちから道が逸れること!

つまり私は確信しました!そして、アマガミやり尽くしたよって人に言います。
高橋先生マジいいから、やろう!隠されたアマガミ!幻の本編!最後に残された世界線!

以下ざっくりとオススメしながらざっくりとネタバレします!確信的なことは言いません(・x・)

何が良いって、最初は完全に高橋先生視点(ボイス付き)で始まるのがもうたまらんですね!
あの時高橋先生は実は!と言う本編への整合性を取って行くう!
と同時に、高橋先生の人物描写が行われるわけです!
そのことによってえ!
以降主人公視点に切り替わっても、先生がどう思って何を考えてそうしているのかとか、夢(妄想)が広がって、弾ける!
いやもう、本編でもヒロイン視点はちょいちょいありましたけどね、高橋先生視点は結構なボリュームで主人公視点とサンドイッチなわけです。
高橋先生が少しずつ意識していって、抗うのに抗えない感じが!
いやあ、たまらんですわ。。。
そしてね、先ほど申し上げました通り、仲間キャラ、先生編ではモブだけどもとある正ヒロインも含め、仲間の活躍が憎い!
ラスト近辺のネタバレなのでナニとは言わないけどもアマガミ本編やり尽くしたよって人へのスタッフのご褒美もにくい!
いやあ、たまらんですわ!
そして、本編ではなかった乙女な高橋先生の追加CG!紆余曲折あっての感極まっての追加CG!
いやあ、、、、、たまらんですわ!!!

というわけで、はい、私“いやあたまらんですわ”がちょっと熱く今回アマガミについて語らせて頂きました。
最後に一言だけ、叫ばせて頂いて〆ようと思います。

 

<font size="160" color="red">アマガミの後継作はまだですか!?!?(血涙)</font>

 

※某ツイートは見ています。忘れた頃にやってくるらしいですね。2020年かな。ははっ。
ステマではございません。だが買え。買ってください。何でもしますから!(何でもするとは言ってない)

 

エビコレ+ アマガミ特典なし

エビコレ+ アマガミ特典なし

 

 

アマガミ ちょっとおまけ劇場 EX2 [ダウンロード]

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懲役339年ー前後半と映画で見たくなる物語ー(ネタバレ控えめ)

絵は軽いタッチながら、全4巻と言う尺に世代を超えた大河的な流れが詰まっています。

大まかな話は輪廻転生が信じられた国で懲役339年を課せられた大罪人を巡った物語。
先代の大罪人が死ぬと、それまで懲役を受けた分の刑期が引かれ、同時に身体的特徴から生まれ変わりとされる次代の大罪人を見つけだし収監して行くと言うもの。
つまりは初代、二代目、三代目、四代目…と話が展開して行きますが、どの代にも無駄がなく話が繋がっており、前半2巻は大罪人を巡る人々が、後半2巻は大罪人自らが主人公として、とある国の行方を描いて行きます。
そして大罪人を巡ると言っても、しっかりとその敵と味方が描かれており、それぞれに話が展開してクライマックスを迎えます。
息を飲むような衝撃的な展開が多く、リアリティを持たせれば持たせるほどより映えそうな話だったので、とても実写映画で見たいなと思いました。

 

初めはどこかファンタジーな舞台だったのに、最後にぐっとリアリティを持たせたエピローグも素敵で、今回そんなエピローグに寄せてのレビューでした。

 

人に何かを薦める時、少しでもネタバレはしたくないのでレビューベタですが色々と書いたり削ったりしてちょっと頑張ってみました。
魅力が伝わってなかったり、嫌なネタバレしてたらすみません。

 

Amazon.co.jp: 懲役339年 1 (裏少年サンデーコミックス): 伊勢 ともか: 本

【SHIROBAKO】最後のデザートのように【最終回】

SHIROBAKO最終回お疲れ様でした!
みんな出てきてワイワイやって、無難に〆たと言うより、これまでの丁寧な物語があってこその添えるような〆、最終回丸ごとCパートのような、余韻のような〆でした。
23話終えた時点で今更もう最終回だからと言って無理に飾ったものを持ってくる必要もないだろうと思ってましたし、こうして打ち上げの様子を描いたのは仕掛け人のPAW堀川社長が常々描きたいと言われていた人と人とのつながり、もう宮森が全部言ってましたが(笑)そうしたものを表しつつ、視聴者ともその繋がりを共有したいと言う表れかなと思って見てました。
そう、描きたいことはしっかりもう23話使って描いてきたので、添えるだけで良いんです!
オードブルに始まりなんやかんや経てメインディッシュも終えて色々あって最後にデザート添えるだけで良いんです!

それだけで映えるんです!

ストーリー的にもう今更何もなくったって、下地をしっかり描いてきたからこのキャラはこんな時こんなこと言ったりとかこのキャラとこのキャラはこう絡んだりとか妄想膨らんだり、実際絡んでるシーン見てもわかるわかるみたいな、色々と知っちゃってるから勝手に補完されてるんです!
そういうとこやっぱ生々しいし、創作物として凄い作品ですよね。2クールとは言えあのキャラ数でw

 

まあ、劇場版を作る劇場版は見てみたかったり、最後の方で葛城さんが言ってた“2ライン”とかは新たなネタフリかな?って思って期待しちゃいますが。
一先ずでもここで綺麗に〆て終わりと言うのは一つの作品としてとても良かったと思います。

 

けど色々とわかっていてもこう思い入れが出来てしまった作品が終わるのはやっぱり寂しいですね、変な話。
ネタは十分に全力投球してるだろうし、少なくとも今すぐこれ以上作ってもお仕事アニメ的にはネタ切れ起こしてただの宮森たちの成り上がりドラマになってしまうのはわかってますがw
とまあここでずるずる言ってても仕方ないので名残惜しくも最後くらいベタベタに〆たいと思います。

 

どんどんドーナツどーんと行こう!

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この一枚の写真の暖かさがそのまま全部伝わってくるような、そんな良い作品でした。

ありがとうございました。

 

余談ですがきっとあの場にいなかった本田さんはリアルで活躍していたのでしょう。

【SHIROBAKO】ずかちゃんはシンデレラだった!【考察】

よく無名の人が成功して一躍有名になって行く様をシンデレラストーリーなんて言うけど、SHIROBAKOの新人声優坂木しずかは本当にシンデレラを丁寧になぞってるだけと気付いた。
水島監督にしてやられた。
現代劇であること、新人声優と言う立場、主人公の内の1人であり他の主人公は普通にお仕事アニメしてると言うカモフラージュでまるで気付いてなかった。
SHIROBAKOの焦点がしずかだけじゃなく様々な場面、様々な視点に切り替わることでも良いように惑わされていたと思う。

 

先ずわかりやすく経緯で言うと初めてしずか(シンデレラ)がアニメの役を得よう(舞踏会)とオーディションで監督(王子)と会った時、王子(監督)はシンデレラ(しずか)が気になったけどシンデレラは去らなければならなかった(オーディションは落ちてしまった)。
その後キャサリンの妹と言う役(ガラスの靴)が出来た時、それにピッタリ当てはまるのがしずか(シンデレラ)だった。
その他バイトばかりの描写は掃除を押し付けられてたこと、モニターの向こう側の声優の描写は舞踏会へ遊びに出かけていた姉達、なかなか受からなかった描写は舞踏会へ行ってみたかったけど阻まれていたと言う状況、全部意地悪な姉達関連のメタファーとして思い当たる節がありますね。
つまり監督は王子様で、妹役はガラスの靴で、役を得てデビューすることは舞踏会で、ずかちゃんはシンデレラだった!
この古典を隠し隠し丁寧に布石を散りばめ描くことで、“約束された結果”が過剰な演出抜きに視聴者の感情を一気に決壊させたんです。
2015年にもなってシンデレラで泣かされたんだよ我々は!

 

わかってしまえば単純でピンと来ることなのにすっかり監督の術中にはまってた。
悔しい(笑)
こうして古典的な王道を仕込んでくるあたりさすがSHIROBAKOですわ。
そして先生としてアドバイスをしていた縦尾さんは魔法使い。
声優業(物語)として絡めないけど応援してた宮森は視聴者サイドの存在としての立ち位置か。
居酒屋で紹介を断ったのもシンデレラからのメタファーかもしれない。

 

改めて言いますが新人声優と言う立場を上手くシンデレラに落とし込むとは本当に感服しました。
そしてSHIROBAKOはアニメとしての教科書的とも言える起承転結と王道の引きをやりながら、童話としての古典的娯楽シンデレラを巧妙に隠してたことになります。天晴れです。
また、しずかのパートだけでアニメやるとそれはそれで終始暗いテイストになりそうですし、1クールものであっても引っ張り過ぎになったと思うので、SHIROBAKOのストーリー展開のさせ方だからこそエンターテイメントとして理に適った古典の挿入だなと思いました。
しかし水島監督はイタズラっ子とのことで他にもまだまだ何か仕込まれてそうな予感。
そうした意味でもSHIROBAKOの今後に期待してます。

 

余談
そう言えばアイドルマスターシンデレラガールズってアニメも同時期にやってるけど正にシンデレラを他アニメが描いてしまうとかなんたる皮肉\(^o^)/

SHIROBAKO19話の演出が凄すぎて心射抜かれた

宮森唯一の欠点と言えた具体的目標のなさ解決回!
その演出があまりに見事で惚れ直しました。ええ、ラブです。


ストーリーの積み重ねから次世代へと言う演出は重みがあっていいですよね。
ただ、それでも普通はそれまでのストーリーで描いてきた重みを持って“現在”のキャラクターからキャラクターへ行われるものです。
それだけでもしみじみするものがあると言うのに、SHIROBAKOはここぞとばかりに回想を使い過去へトリップさせ、わざわざ掘り下げてから現在までの重みを全部ぶつけてきやがりました。
その演出のニクさと言ったらもう…ないです。


そんな中でも特に関心したのは作中劇「山はりねずみのアンデスチャッキー」を使っての描写。
アンデスチャッキーが始まったと思ったら中身は過去のキャラクターの更なる掘り下げ。
ドラマパートから場面を変えて、現在へ繋がるより核心的な部分の描写、特にチャッキー(デスク時代の丸川社長)のセリフは宮森達主人公5人の学生時代の誓いに被せてありました。
そして吹雪が止んで晴れ渡ったとこへ駆けつける1匹のカエル(ベソベソ)がCV宮森(木村珠莉)。
ついでにその後の梅干しシーンの宮森の変な目はベソベソの目で、絵麻の絵をみて宮森達もベソベソの目であることに気づいてますね。
もしかしたらこのベソベソの目は更なる伏線となるかもしれません。


その後舞台は現在へ戻り、宮森は丸川社長や大倉さんから目標はなかったけど今は楽しいかどうか、その楽しさの積み重ねで今日自分はここにいると言う話を聞きます。
それに対し宮森ははっきりと楽しいと答えました。
チャッキー達のシーンはチャッキー達に駆け寄ってきたベソベソのように、宮森もまたその仲間だったことを、そして同時に新時代の幕開けとなる人物であるように描写されていたのだと思います。


というわけで。
どんだけ仕込んでだよ!
あとから気づいてこうして理解したり解説したりは出来るけども、アニメ作るアニメだからってここまでその環境をフル活用した演出を生み出せるってどんな頭してんだって、死ぬほど感心しました。


そしてあのEDである。
って言うか関心づくしだけどこの記事全部Bパートだけのお話である。
SHIROBAKO恐ろしい子


残り5話も、普通は2クールならもう先がないし収束して行くとこですが、SHIROBAKOはさらっと少ない時間なのに丁寧にぶっこんだりがあって本当読めません。本当楽しみですね!
(某ツイートから最終話コンテだけが超絶不安要素ですが…監督お願いですから本当のこと教えてください!僕らを安心させてください!)

失格人間ハイジを湯浅政明監督でアニメ化して欲しい

突然ですがcomicoと言うアプリで連載されている失格人間ハイジと言う漫画が大好きです。
ざっくり言ってしまえば三十路社会人男女の恋愛を描いた漫画なのですが、ブラウザやアプリで見るのに適した縦スクロール漫画なのです。
縦スクロール漫画と言えば今やいくらでもあるのですが、この漫画はそんな中でもかなり縦スクロールでの表現力、演出に力を入れていて、新しい漫画の形が開けてしまうような、ただ見てるだけでも面白く気持ちのいい作品です。

作者さんは映像作品をヒントに縦スクロールを使った演出に落とし込んでいるとコメントを残していらっしゃいますが、今度は逆にそれを湯浅監督が映像化するのです。

湯浅監督は四畳半神話大系やピンポンのアニメーション監督さんで、独特の雰囲気を持った原作の魅力をそのまま最大限にしてアニメに引き出すすごい監督です。
このブログでは最初の投稿でなんか書いてますけども、それは主に設定についてなのでさておき、原作絵ママのアニメ化、演出は文句無しでした。

そんな湯浅監督が失格人間ハイジのあのスクロール技法、長い一枚絵をスライドすると上手く次のシーンやアクションに変わってたり、時間の経過が描かれたりと言った演出をままアニメ化したら…と思うとなんだか夢が広がっちゃって。
単純に“見たい!”です。

ハイジを単行本化と言うのもどうなるのか戦々恐々ながら興味が湧くところではありますが、さすがに無理難題だと思ってて、そんなところでふと湧いてきた妄想でした。