スキナモノガタリ

好きなものを書いていこう。そこで繋がれると嬉しいから。

好きなもの語り〜DéracinéとScarborough Fair〜

中世の西洋的な雰囲気で妖精さんが出てきてScarborough Fairが流れるフロムソフトウェアのゲームとか言う卑怯さに一本釣りされ、PS VRごと購入したDéracinéを先日クリア致しました。

お伽話チックでミステリアスな雰囲気だけでも好きなんですが、スカボローフェアって何故か昔から強く惹かれるんですよね。

物心つかない頃に聴いてタイトルがわからないけどずっと心のどこかで琴線に触れる曲としてしまってあった自身の中での遠い昔のおとぎ話感。

大きくなってふと旋律を思い出し、それらしいキーワードで探して再発見するかのように再開し、より深くネットの知識で追ってみれば旋律、詩どころかタイトルまで諸説ある吟遊詩人によって歌い継がれてきた伝統的な民謡歌と、どこまでも心をくすぐられる詩曲です。

この辺り、ニコニコ動画に詳細な動画があり、とても勉強になりました。

スカボローフェアの不思議 前編 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm12640287

この動画を追ってみるとスカボローフェアはいくつか原曲となるものがあり、そして原曲はどれも妖精と関わりが深いことがわかります。

そしてDéracinéと言うゲームは内容を思い起こせば、しっかりとその原曲理解を下地にメインテーマにスカボローフェアが選ばれたんだなと感心しました。

あんまり言うとゲームのネタバレなので、ネタバレ食らいたくない人は上記の動画もお預けです。

ちなみに今でこそサイモン&ガーファンクル版が有名すぎてそれとして知られていますが、個人的に一番気に入ってるのは上野洋子さんが歌うvita nova版です。酒場で演奏されてそうな陽気な雰囲気がとても面白いです。

DéracinéのScarborogh Fairも旋律はこっちに近いですね。

vita nova

https://www.youtube.com/watch?v=Re8o5hZDTX0

もはや一般的とも言えるサイモン&ガーファンクル版

https://www.youtube.com/watch?v=-BakWVXHSug

良ければどうぞ聴き比べてみてください。

 

そんなこんなで、Déracinéは結構コンパクトで短めなゲームでしたが、初のPS VRを体感しながらでちょうど良い長さに感じました。

酔いやすいと言う個人的な欠点はありましたが、妖精と人間の織りなすお伽話のような世界にVRで干渉して行ける面白さと、先が気になる物語に惹き込まれました。

ごちそうさまでした。

気付いたら息を止めていた。 血の轍/押見修造 既刊2巻

結構猟奇的な漫画とかも読んできたけれど、これまで読んだ漫画で最も恐怖してる。

自分でもページを送るスピードが早いと感じていたけど、気付いたら呼吸が乱れていて、ああ、途中息を止めてたんだ、だから早かったんだと気付いた。

手には汗を掻いていて、絵は読むと言うより逃げるように見ていた。

 

この漫画のテーマは毒親

これまでも生々しい痛々しさを描かせたら押見氏の右に出る者はいないと思っていたけれど、今回の描写は、単に毒親を描いたなんて言葉じゃ片付かない、台詞がえぐいとか、絵がグロくてえぐいとか、そのどちらも無いのだけど、そんなレベルを超えて、空気がえぐい。精神的にえぐい。

強調されるのはひたすら人物の目と間。

その描き方はまるで自分がそのやばい人物と対面してるかのような感覚に陥り、漫画を読むというより追体験させられているように感じました。

読むのは恐らく一瞬だと思います。狂気の余韻に浸りたい方にオススメします。

血の轍(1) (ビッグコミックス)
 
血の轍(2) (ビッグコミックス)

血の轍(2) (ビッグコミックス)

 

ニューダンガンロンパV3クリア感想ネタバレあり

本件はしっかりネタバレしているので、未プレイ、未クリアの人は死んでも見るな!
初回は是非ともフラットな気持ちでやってほしい一作です。

 

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シュールなマンガは好きですか?ヒナまつりのすゝめ

思い出したように今更ヒナまつり10巻を買ったんですが、何これと笑い何これと感動しました。

思えばシュールさって、「何これ」という状況が作り出すんだなと言うことを徹底してシュールなこの漫画は教えてくれます。

普通漫画と言えば伏線はったり風呂敷広げて、それをいかに上手く畳むかなんてところをよく楽しみにしている私ですが、ヒナまつりに関してはそんなのもうどうでもいい、畳まなくていい、投げっぱなしでいい、だってヒナまつりは他の漫画が頑張って伏線はったり回収したりって割いてるエネルギーを、いかにしてシュールな状況を生み出すかに割いていると、ギャグマンガなのに9巻での突然の3年経過と話をぶん投げて10巻で上手いことまたシュール漫画として着地させていることで確信しました。

前々からごりごりのギャグ押しではなくシチュエーションで押してくるシュールさがたまらんくて好きでしたが、普通ならもう独立して別漫画にでもなりかねない、3年経過して主人公と益々接点がなくなっていくサブキャラ達のストーリーを、主人公とのシュールな対比としてあえて一つの漫画に残している。そこまでしてシュールなんだなと痛感しました。

 

「何これ」と笑って泣けるシュール漫画【ヒナまつり】おすすめです。

 

 

記憶をなくした少女の幽霊と幽霊に恋をした少年の恋物語-黄昏乙女×アムネジア-

前回控えめなネタバレなしオススメ書きました。基本オススメはなるべくネタバレせず、新鮮な気持ちで楽しんでほしいと思うので、ああなるんですが、簡素すぎて魅力伝わってなくね?と不安になっています。
というわけで今回は感想として、いろいろ好きに書いちゃうぞー!

・夕子さんがとにかく可愛い

黄昏乙女×アムネジアにはコメディと恋愛とホラーとミステリーとシリアスの要素があるんですが、なんだかんだ主軸はやっぱり主人公とヒロインの恋物語だと思います。
恋物語の面白さに上手いこと記憶をなくした幽霊と言う設定を被せて恋の障害やら駆け引きやらが独特なテイストで面白くなっていると思うんですが、なんと言ってもこの恋物語の面白さ、説得力に夕子さんの魅力は欠かせません!
作者に中学生(15才)じゃないだろと突っ込まれるお姉さん的なエロい肢体と、それを惜しげもなく晒したかと思えば自称エロい死体(白骨)は見られる事を恥ずかしがったり、イタズラ好きだったり、触ってほしいと迫ってきたり、構ってちゃんだったり、怪異には懐疑的でリアリストだったり、嫉妬したり、演じる声優さんがハマり過ぎててその声がなんとも良かったり(影含む)と、一見しっかりしてて芯が強そうなんだけど寂しがりと言う色気のある女性の可愛さをこれでもかとぶっこんだ様な可愛さでありつつ、中盤から終盤にかけては記憶をなくした幽霊と言う儚さがその可愛さを裏打ちしてきて、なんとも言えず一人の人間として生々しい魅力を備えています。(て言うか幽霊ながらこの作品で一番人間らしい生々しさを孕んでるのは夕子さん可愛い)
さすが中学生男子に“人を好きになるのに幽霊かどうかはあまり関係ない”と言わせてしまうだけの事はあります。
まあこの作品の幽霊は生者にできない事は幽霊にもできない(壁やドアをすり抜ける、好きな姿に変わるなど)、ただし幽霊の見え方は見る人の思い込みによって変化すると言う幽霊モノにしては結構ドライな設定なので、普通の人間らしい幽霊と出会って仕舞えばそうなるのかも知れませんが…。
とにかく夕子さん、ヒロインとして魅力満載です!

・キリエさんは中二病可愛い

このアニメ、サブキャラ含め基本怪異調査部の4人しか出てきません。
主人公の新谷貞一、ヒロインの庚夕子、そしてサブキャラの霧江さんと小此木さん。
原作では他にも色々と怪異があったり、サブキャラが居るんですが、アニメでは夕子さん関連にストーリーを絞った結果だと思います。
原作連載中のアニメ化、しかも1クールと言う事でお察しください。
しかしこのサブキャラ陣も愛されキャラとして良い味出し過ぎです。
キリエさんはシリアスシーンにはキメポーズやキメ台詞(謎の光や風がカッコ良さを演出)でシュールな笑いを誘い、ホラーシーンではガチ泣きで庇護欲とギャップ萌えを誘ってくれるツンデレキャラです。
ところどころ探偵並みの名推理でストーリーを引っ張ってくれたりもしますが、そんなことは二の次です。

・小此木さんはハイテンション可愛い

間違いなくこの作品ナンバー1の強メンタルです。メンタルが強すぎて霊感がなく(?)レギュラーメンバーで唯一、夕子さんが見えません。
怖がる時も嬉しい時も、ことあるごとに騒ぎ立てますが、不自然なまでにダメージがありません。
どんなに怖いことがあった夜も爆睡したり、主人公に告白して振られた時に若干辛そうな描写があっても、同日夕方にはすっかり立ち直ってて凹んだ描写微塵もなかったり…お前もアムネジアしてね?
とにかく最後までハイテンションで天真爛漫なマスコットと言う感じで場を盛り立ててくれます。

・10話という存在

もうここまで語ったこの作品の魅力全否定に迫る様な壮絶な回なんですが、正直このアニメの中で一番評価してます。
続く11話の展開のトリッキーさや最終12話の演出も良かったですが、個人的にはこの10話が一番衝撃的で、一番心に残り、一番辛さがダイレクトに繋がってくるこの回が、一番泣きそうでしたね。
話的には単純だし、昔話的にはよくある話やシチュエーションの類に放り込まれるものだと思いますが、何と言っても1話使って丁寧に一人称視点であれをやられると堪えます。
ところどころ演出が光る作品ですが、この10話は本当に丸ごと演出にやられました。
声優さんも怪演でしたし、アニメならではの効果的な回でした。

この作品はただほのぼのと軽い気持ちで幽霊という存在を出していません。
幽霊と言うからにはそこには未練、恨みがあって現世に留まっています。
しかし夕子さんが主人公と初めて出会った時、夕子さんは言いました。
「私には未練も、恨みも、何もない」と。
10話はそんな夕子さんの未練、恨み、失くした記憶の真相回です。心してご覧ください。

・原作とアニメ

キリエさんのとこで書いてしまいましたが、このアニメは原作連載中にアニメ化されたもので、中盤あたりからアニメオリジナルとなっています。
しかしアニメも原作も、それぞれ筋を通してしっかり最後まで話を作っているので評価が高く、実際読んだ私も両方楽しめました。
あんなに評価した10話(過去の真相)も、原作では色々と別物なのです。
実は最初読んだ時はアニメに感情移入しすぎてて異物感あったんですけどね、しっかりよむとしっくりくるし、原作ラストまでの話の通し方も良かったです。さすがは原作者様!
なのでアニメをずっと推して書いてますが、原作ももちろんオススメです!
全10巻なので、割と手頃です。

・まとめ感想

長々と書きましたが、キャラが、構成が、演出が、音楽が、色々と愛おしいんですよね、この作品。
見始めるとついつい次へ次へと見てしまい、もう4周してしまいました。
程よくコメディで、程よくシリアスで、程よくホラーで、そしてミステリアス。
その雰囲気が本当に上手いこと融合されていて、見終わった後の余韻というか、喪失感と言うか、終わってない感が凄いです。
もう日常系でも良いから続きを見たいような。(綺麗に終わってるんで本当に作られるのも怖いですが)
重大なネタバレですが、アニメも原作も、成仏エンドじゃないんです。
幽霊が現世に留まり続けるなんて普通なら不穏なんですけど、この作品的にはアリだなー、ハッピーエンドだなーって思わされてしまうような作品なんです。
そんな愛され作品が、当時売り上げ2000枚弱だとか、個人的に評判を聴いたこともなかったし、ニコニコ配信買ったけど再生数低いですし、今更知りながらももっと広めたいなと思いました。
原作で主人公が夕子さんにそうしたように、世の怪談みたく、口コミでも再評価されて評判が広まってくれれば嬉しいですね。


【PV】TVアニメ『黄昏乙女×アムネジア』プロモーション映像 第3弾

【ネタバレなし】埋もれるには勿体ないアニメ黄昏乙女×アムネジア

2012年のアニメですが、なんで当時見てなかったんでしょう?
存在に気付いていなかったんでしょう?
評判も正直聴いたことがなく、今回見たのも面白そうな漫画漁ってて、そこからアニメ化されてるのも知ってのたまたまだったのだけれど、なんで評判を聞かないのか、本当にもったいない作品だと思いました。

と言うわけで記事化に至ります。以下本題。

黄昏乙女×アムネジアはネタバレ薄めでざっくり概要を言うと、記憶をなくした少女の幽霊と一人の少年が出会ったとこから始まる恋愛譚です。

ジャンルでいうとラブコメチックミステリーホラーと言う感じでしょうか。記憶をなくした少女の幽霊と言う存在がこの3つのジャンルを上手く融合させるキーとなっていて、ラブコメであってもどこか陰のある物語にグイグイ引き込まれていきます。

また、演出がわかりやすく言うと化物語など手掛けているシャフトの演出で、それがこの作品にはよくはまっていて、色気のあるシーンやホラーなシーンを効果的に印象付けています。
ちなみに監督や脚本などのメインスタッフはシャフトのefと言う作品に携わってた人達のようです。

そして全12話でありながら、こうした物語や演出を持って畳みかけてくる終盤、しっかりと収束するラストは本当に見事でした。

今期やってたとしたら昭和元禄落語心中とはまた別のベクトルで、同じくらい楽しんでいたと思います。

 

イラストがいいのでAmazonはあえてBD6巻を貼ります。

黄昏乙女 × アムネジア 第6巻 [Blu-ray]

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アニメの円盤いくつか買ってみて感じたこと

アニメが好きで何度か応援のつもりで円盤買ってみたけど、高い割にそんな見返すこともないんだよね。
持ったところで自慢する気にもなれない、そこまでリアルでアニオタを主張したいわけでもないし。
今期だと昭和元禄落語心中とか、ものすごく応援したいんだけどお財布と相談すると円盤買えはやっぱり辛い。
円盤買うか買わないかでしか応援出来ないのは気分的には0か100かしかないみたいな感じで、5くらいの気持ちで応援できたらいいのになと思う。
応援って言うのは、純粋に続きだけ見たいことが多い。
あと良く出来てた、面白かった!的な返事とか、敬意とか、示したいという感じ。
でもそれが6000〜8000円かかりますとなると気が引けちゃうんだよね。全部買うと4、5万とか…。
面白かったら500円くらいのおひねり投げ入れるくらいで応援したい。
そしたら毎クール、毎作品だろうがある程度応援の幅が広がるんだけど。
そんな仕組みを作って欲しいなあ。
見返りは、それで続きや次の作品の励みや制作費になってくれりゃ十分だから、別に円盤までは要らないんだよ。場所も食うし。
何かしら簡単な特典はあってもいいかもだけど。

ニコニコ動画の広告は良いシステムだなあと思います。
あれなら自分で金額も選択出来るし、あんな感じでまま制作側にお金が行くなら理想だなと思ってます。