その漫画は、暗雲立ち込める暗示を、光一閃と言わんばかりの明示で貫いた
びっくりした。
こんな日本語の構文あったの?ってくらい、気付いて震えました。
と言うわけで、またまた、ハコヅメです!
またかよとか言われてもまたやられたからしょうがない。
この構成が偶然であるなら持ってるし、計算と言われたらもう…
ほんっとこの作者、元警察官じゃないよ、ただの知能犯だよ!
さてどう言うことか説明するのにちょっと前置きがあります
ハコヅメは現在、毎週木曜日発刊の週刊モーニングで連載されています。
またそれとは別に、講談社系の漫画アプリ、コミックDAYSでも週刊で公開されてる回があります。
ハコヅメはコミックDAYSだと毎週月曜日更新組で、その月曜日では約1年前の回が2週間限定で無料公開となっています。
ですがコミックDAYSにおけるハコヅメの無料公開は実はもう一つあって、そちらは約1月前の回が、週刊モーニングと同じく木曜0時から2週間限定で無料公開となっています。
恐ろしいことに以前から、ハコヅメの最新話はこの周回遅れの無料公開を意識してリンクさせたような話を作り上げてるのではないかとファンの間で言われたりしてました。
実際読んでても妙に関連づいたような、最新話を読んで公開される過去話を読み返すとハッとするような話や伏線を回収してる事があったりするのです。
今回のギミックも、ズバリそんな現代ならではの二重構成からくる衝撃でした。
そんなわけで…
今週無料公開された約1月前の回はこちらになります。
タイトルは最後の昼餐。もうズバリなタイトルです。
そして…
こんな絵とセットで、“嫌な予感”とか“最悪の裏切り”とか、『この者たちが揃うことは二度となかった』的なことを匂わせてきたわけです。
この絆が崩壊する…?終わりの始まり…?
もうハコヅメ始まって以来一番の暗雲を立ち込めさせた回でした。
ギャグも伏線にしてしまうような漫画で、更にミスリードも混ぜ込んでくるので、ギャグでも油断なく読むと言ういちファンの職務を全うするしかなく、この仲間への疑心暗鬼感半端ない空気を背負わされたわけです。
これまで親しんだキャラを疑う、嫌な思考が頭を巡る。
もう呪い級の暗示でした。
そして今週発売の最新話は、そんな重い空気を力技で押し晴らしてしまうような、読者をひとしきり爆笑させてから、少しの間を持たせ、空気を変え、並の漫画家さんじゃ怖くて投げられない球を全力投球する、と言ったような大絶賛回でした。全力投球すぎてぽかんとされる方もいましたw
正直、その単話だけで構成上手だし面白いしで満足度も高く、何周か読んでも過去話との関係性には気付いていませんでした。
これまでだと最新話で数話前の言葉の真意がわかる、と言う感じの関連付けが多かったのです。
ですがその全力投球が、あの暗示に軽く風穴開けてしまうほどの明示だと気付いた時、震えました。
正直暗示の全てが晴れるわけではないんですが、光一閃、これで終わるかもしれないと言う絶望的だった暗示は、絶対に終わらないと言う強い明示によって貫かれたのです。
こんな暗示と明示の使われ方は、見たことも聞いたこともなく、ただただ震えました。
偶然か、計算か、この構文を評価するには私の語彙は足りません。
私に出来ることは一つだけ。
ハコヅメ、おすすめです!
モーニング今週号は作者インタビュー付き!(モーニングの電子書籍はDモーニングがお勧めです)
12月3日まで電子書籍1〜3巻無料!
16ページの魔術師
前回に引き続き、またしてもハコヅメです。
もう面白いから仕方ない。
最初は絵が拙いながらも警察官から漫画家になった人がコミカルに描く職業漫画として楽しめていたのですが、作者さんは余程勤勉でバイタリティもある方だったんだろうなと伺わせられるほど、絵の上達だけでなく、話作りも巧みになっていると感じます。
今回、その巧さが存分に詰まった回が2週間の無料公開期間に入ったのでおすすめしたく書きました。
ハコヅメは毎話16ページと言う縛りで連載されています。
その16ページで、読者に3つの感情を抱いてもらって楽しんでもらおうと心掛けていると、以前漫道コバヤシさんのインタビューで語られてました。
なので今回もたったの16ページです。
ですが読み終えた時、もっと多くの情報量を得たような、そんな風に思える回の一つがこの回で…
人間ドラマとして展開させつつ、職業漫画としても機能させつつ、ドラマの魅力として伏線も仕込んで読み返す楽しみも持たせて、16ページにこれだけ要素を詰め込めるのかと思わされました。
と言うとこで先ずは一読おすすめします。
さて、一読した上でですが、ハコヅメの話を知らずとも違和感がなかったかと思います。
ハコヅメは既に14巻刊行されていて話も進んでいますが、そんな中で色んな要素を含みつつ完成された読切のような単話を作られているのがまた作者の巧さを感じさせられます。
ただ、完成されたように見えながらも、この話の一コマが大筋ではまた一つの伏線となっていたりするのが最近のハコヅメで、どこから何が活かされて展開してくるのか油断ならないのが更に漫画の巧さを感じさせられて、考察が捗りまた面白いのです。
そして同日更新された最新話、公開仕立てでまだ有料ですが、この回はまたとても大きな社会的テーマを負った回となりました。漫画の巧さで言えば本当に感情揺さぶられまくりの巧さです。久々に深く抉られました。
この回はチャイルドシート回と並んで広く知って欲しい。
また無料公開期間となったら記事にしたいと思います。
最近のハコヅメ〜交番女子の逆襲〜
私のオススメは何と言っても毎週楽しみに連載追っかけてる漫画、ハコヅメです。
警察官として10年勤務された本職の方が警察をテーマに描いた職業漫画ということで、方々で話題となることもありました。
既刊は2年目にして14巻で、先月出ましたが来月15巻が出ます。作者さんが元警察官できっちりされてて体力もあるのかかなりハイペースだと思います。画力もメキメキ上がってます。
堅い法の番人感を崩すような緩い空気やギャグの掛け合い、独特なパワーワードを織り混ぜつつ、警察として大事なところは大事なところで踏まえ、その緩急のバランスで楽しめる漫画です。
それが10巻くらいまではほぼ1話完結、日常系漫画として親しまれていましたが、11巻より長編が導入され始め、しかも過去回の節々に散りばめられた台詞なども回収されたり、見え方が変わったりと縦の時間軸で話を繋げてくるようになりました。
かと言って物語が収束に向かっているわけでもなく、新キャラも出るし新たな伏線らしき導入も散りばめながら、キャラの立ち位置の変化も描きながら、さながら丁寧に紡がれる歴史物の様に作品が変化してきました。
そんなハコヅメを週刊連載で追ってしまうほどの魅力はズバリ先の読めなさ、伏線回収の妙があると思います。
さりげない台詞どころかバカみたいなギャグにも仕込みがあったりして、作者の掌でころころと良いように転がされてる気さえします。
また1ページ目、1コマ目からの流れで全くオチが読めません。毎週たった16ページにも関わらず転じて転じて転じて落ちるみたいなジェットコースターが楽しいです。
ギャグで笑い転げてたらシリアスに刺されることもあります。
とは言え毎週買って読めとまでのオススメは出来ませんが、先ずは単行本から手に取ってみて最新刊まで楽しめたらぜひ、ハマって頂ければと思います。
好きなもの語り〜DéracinéとScarborough Fair〜
中世の西洋的な雰囲気で妖精さんが出てきてScarborough Fairが流れるフロムソフトウェアのゲームとか言う卑怯さに一本釣りされ、PS VRごと購入したDéracinéを先日クリア致しました。
お伽話チックでミステリアスな雰囲気だけでも好きなんですが、スカボローフェアって何故か昔から強く惹かれるんですよね。
物心つかない頃に聴いてタイトルがわからないけどずっと心のどこかで琴線に触れる曲としてしまってあった自身の中での遠い昔のおとぎ話感。
大きくなってふと旋律を思い出し、それらしいキーワードで探して再発見するかのように再開し、より深くネットの知識で追ってみれば旋律、詩どころかタイトルまで諸説ある吟遊詩人によって歌い継がれてきた伝統的な民謡歌と、どこまでも心をくすぐられる詩曲です。
この辺り、ニコニコ動画に詳細な動画があり、とても勉強になりました。
スカボローフェアの不思議 前編 http://sp.nicovideo.jp/watch/sm12640287
この動画を追ってみるとスカボローフェアはいくつか原曲となるものがあり、そして原曲はどれも妖精と関わりが深いことがわかります。
そしてDéracinéと言うゲームは内容を思い起こせば、しっかりとその原曲理解を下地にメインテーマにスカボローフェアが選ばれたんだなと感心しました。
あんまり言うとゲームのネタバレなので、ネタバレ食らいたくない人は上記の動画もお預けです。
ちなみに今でこそサイモン&ガーファンクル版が有名すぎてそれとして知られていますが、個人的に一番気に入ってるのは上野洋子さんが歌うvita nova版です。酒場で演奏されてそうな陽気な雰囲気がとても面白いです。
DéracinéのScarborogh Fairも旋律はこっちに近いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Re8o5hZDTX0
もはや一般的とも言えるサイモン&ガーファンクル版
https://www.youtube.com/watch?v=-BakWVXHSug
良ければどうぞ聴き比べてみてください。
そんなこんなで、Déracinéは結構コンパクトで短めなゲームでしたが、初のPS VRを体感しながらでちょうど良い長さに感じました。
酔いやすいと言う個人的な欠点はありましたが、妖精と人間の織りなすお伽話のような世界にVRで干渉して行ける面白さと、先が気になる物語に惹き込まれました。
ごちそうさまでした。
気付いたら息を止めていた。 血の轍/押見修造 既刊2巻
結構猟奇的な漫画とかも読んできたけれど、これまで読んだ漫画で最も恐怖してる。
自分でもページを送るスピードが早いと感じていたけど、気付いたら呼吸が乱れていて、ああ、途中息を止めてたんだ、だから早かったんだと気付いた。
手には汗を掻いていて、絵は読むと言うより逃げるように見ていた。
この漫画のテーマは毒親。
これまでも生々しい痛々しさを描かせたら押見氏の右に出る者はいないと思っていたけれど、今回の描写は、単に毒親を描いたなんて言葉じゃ片付かない、台詞がえぐいとか、絵がグロくてえぐいとか、そのどちらも無いのだけど、そんなレベルを超えて、空気がえぐい。精神的にえぐい。
強調されるのはひたすら人物の目と間。
その描き方はまるで自分がそのやばい人物と対面してるかのような感覚に陥り、漫画を読むというより追体験させられているように感じました。
読むのは恐らく一瞬だと思います。狂気の余韻に浸りたい方にオススメします。
ニューダンガンロンパV3クリア感想ネタバレあり
本件はしっかりネタバレしているので、未プレイ、未クリアの人は死んでも見るな!
初回は是非ともフラットな気持ちでやってほしい一作です。
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- 出版社/メーカー: スパイク・チュンソフト
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シュールなマンガは好きですか?ヒナまつりのすゝめ
思い出したように今更ヒナまつり10巻を買ったんですが、何これと笑い何これと感動しました。
思えばシュールさって、「何これ」という状況が作り出すんだなと言うことを徹底してシュールなこの漫画は教えてくれます。
普通漫画と言えば伏線はったり風呂敷広げて、それをいかに上手く畳むかなんてところをよく楽しみにしている私ですが、ヒナまつりに関してはそんなのもうどうでもいい、畳まなくていい、投げっぱなしでいい、だってヒナまつりは他の漫画が頑張って伏線はったり回収したりって割いてるエネルギーを、いかにしてシュールな状況を生み出すかに割いていると、ギャグマンガなのに9巻での突然の3年経過と話をぶん投げて10巻で上手いことまたシュール漫画として着地させていることで確信しました。
前々からごりごりのギャグ押しではなくシチュエーションで押してくるシュールさがたまらんくて好きでしたが、普通ならもう独立して別漫画にでもなりかねない、3年経過して主人公と益々接点がなくなっていくサブキャラ達のストーリーを、主人公とのシュールな対比としてあえて一つの漫画に残している。そこまでしてシュールなんだなと痛感しました。
「何これ」と笑って泣けるシュール漫画【ヒナまつり】おすすめです。
ヒナまつり 10<ヒナまつり> (ビームコミックス(ハルタ))
- 作者: 大武政夫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2016/03/03
- メディア: Kindle版
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